【図書の杜/本要約】第6回 家康、江戸を建てる / 門井慶喜

こんな方が読んでください。
・日本の歴史に興味がある
・人間物語(思い、情熱、感情)が好き
 

歴史モノの本は好きですか?

私は非常に大好きなのですが、今回は歴史モノに分類してよいものか、非常に迷う一冊をご紹介します。

決して、マイナスの意味ではなく、歴史モノが読みづらくて苦手!という方でもかなり読みやすい異色の本かなと思います。

概要

当時の関東は、今とは異なり政治や経済の中心地ではなく、湿地が広がり住むのにも苦労する土地だった。

天正18年(1590年)、秀吉から関東への鞍替えを命じられた家康だったが、この逆境をどう乗り越え、江戸を政治や経済の中心地まで発展させたのか?

家康とその家臣たちの熱い、でもコミカルな人間物語となっています。

内容と所感

この本の内容を大きく三つにまとめると以下です。

本書のポイント
  1. 江戸の治水工事を成し遂げた親子三代の物語
  2. 秀吉との貨幣戦争と一職人から金座の当主に上り詰めた男の物語
  3. 江戸城の石垣と天守の建築にまつわる男たちの物語
①について

当時の江戸は、利根川が南北に縦断する湿地帯。
ここを人が沢山住めるかつ、穀倉地帯にするには、利根川の河口を東へ曲げる大規模な治水工事(東遷)が必要だった。
これを家康から命じられたのは、世間から臆病者と言われている伊奈忠次だった。
そして、それは親子三代に渡る壮大な、いや日本でも最大級の治水工事だった。
時代の移り変わりと江戸における河川に対するニーズの変化に対して、彼らはどう対応したのか。

②について

文禄4年(1595年)、徐々に関東が生まれ変わりつつあったが、依然として経済の中心地は大阪にあった。
江戸を日本の中心地とするためには、質の良い通貨がカギとなると考えた家康は、当時最高の彫金師であった後藤家に目を付けた。
後藤家から庄三郎を預かり、家康は当時としては珍しい小判の作成を命じた。
しかし、そこには大判(当時の最高通貨)を打ち破る秘策があった。
後に金座の初代当主となった後藤庄三郎は、高い技術を持っていたが、後藤家の養子であったが故に数々の妨害を受ける。
果たして、庄三郎と家康は、江戸の初期を代表する慶長小判をどう作り上げたのか。

③について

関ケ原の戦いに勝った家康が、征夷大将軍に任命されたころ、江戸城の建築も着手された。
内濠と外濠に必要な膨大な数の石垣が、どう採掘されて、どのように積まれたのか。
そこには、歴史に出てこないが、確かな技術をもった男たちの物語があった。

慶長11年(1606年)、戦国時代が終わりを告げた中、それでも尚、天守閣に拘りを見せる家康と天守閣の建築に疑問を呈す二代目将軍の秀忠
なぜ、家康は今の時代でも天守閣が必要と考えているのか、そしてそれを白の漆喰で塗り固めようとしているのか。
そこには、秀忠もわからなかった家康の思いが込めれていた。

最初に書きましたが、この本、終始シンプルな文章で書かれていて非常に読みやすいのです。

それでいて、内容が薄いわけでもなく、熱い人間物語と歴史とロマンが詰まっています。

家康が江戸を日本一の都市にするため、あらゆる面を考えていたことがわかりますし、それを支えた実行部隊の方たちは、決して歴史の表舞台にはでてきませんが、沢山のドラマがありました。

ここでは割愛していますが、「飲み水を江戸に引く」という話では、当時の技術で水道設備を敷設する物語も描かれており、人間ドラマだけでなく、当時の高い技術にも感心しました。

最後に

実は、本作を原作として、2019年にNHKで正月ドラマにもなっております。

原作が非常に面白かったので、納得ですね。

ぜひ、そちらでも江戸を作った男たちの熱くて、でもコミカルなドラマをご堪能ください。


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